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4月
浩市は都内の中学に入学する。
大分弁が出ないように苦労して、一ヵ月。
クラスの仲間にもだいぶ慣れてきた。
慣れてきたついでに、クラス内のポジションも確立しつつある。
自分はどうも、いじられキャラだ。
本当に嫌なときは、反抗するが、なるべく笑ってジョークでかわすようにした。
しかし、クラス内で、派手でやたら威勢のいい何人かは、日に日に絡みもきつくなり、ジョークでかわすのも困難な時もある。
隣の席の梶浦裕二は、おとなしい。
おとなしいのに、何故か、絡まれない。
いつも一人でいる。
黒い髪に青い何かを塗っているみたいで、光があたると青く見える。
東京の男子は違うなあ。と、日々感心している。
裕二「なに?」
浩市「えっと、あのぉ。髪の毛に何かついてますど?」
裕二「えっ?」
手で髪をバサバサやる。
浩市「そうじゃなくて、青いの?」
裕二「ああ。マニキュア?」
浩市「へっ?マニキュアって、爪に塗る?」
裕二「……知らなきゃいいよ。」
し―――ん。。
浩市「あのぉ。。。」
一美「裕二!」
廊下から、長身の男子が呼ぶ。
毎日裕二を呼びに来るその男子は、髪はほとんど茶色くて、両側を後ろに流し、前髪の一束だけ額にたれている。
そこも赤と黄色に染め、かなり派手だ。
浩市「毎日、呼び出し…?」
裕二「まあね。」
浩市「だ…いじょうぶ…?」
裕二「うざい。」
浩市「じ、じゃ…先生に言ったら?」
一美「早くしろ!」
裕二は舌打ちして、出ていく。
本当に大丈夫なのだろうか?
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