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ミズキはそっと、手に持っていた古ぼけた日記を優しく引き出しにもどし、ゆっくりと上を向いた。
木でつくられた骨組みが、綺麗に重なって屋根をささえている。
(家は……重なり合って協力しあっている。
でも……僕にはそんな人はいない……なんで僕は1人なのかな……?)
心の中でふとそんなことを考え、風の音しか聞こえない静かな空間に、哀愁を立ちこめていた。
それから30分程時間が経った頃だろうか、急に鳥達が騒ぎ始めている。
ここの鳥達は静かな鳥ばかりのはずだが、いやにうるさい鳴き声が村中にこだまする
最初は気にしなかったが、時間が立つにつれて鳥の異常な鳴き声は大きくなるばかり。
騒ぎ止まない鳥に、ミズキは不安を覚えながら急いで家をでていく。
なにが起きているのかなどミズキには分からない、だが心の中の不安が身体をうごかしていた。
扉を急いで開けた為左手首を捻ってしまい、痛さで顔を歪めながら、無事な右手で左手首を押さえる。
そんなミズキは、鳥達が騒いでいる空を見上げて呆然とした。
いや、呆然とするしかなかったと言った方が正しいかもしれない光景だった。
そこには、真っ青な空には似合わない慌てふためく鳥と、空から落ちてくる1つの影。
小さな影を見ながら、ミズキは少し首をひねる。
先程まで痛かった左手首は驚きのあまり忘れていた。
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