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そして、少女の瞳が少しずつ静かに開いていく。
その瞬間思わず、ミズキは少女に見入ってしまった。
その少女は半身を起こしながら、木漏れ日に当たる瞳はまるでガーネットのように、綺麗な赤い瞳を開く様は一種の芸術だった。
そう、それほどまでにその少女が美しかったのだ。
ミズキはこの時初めて自分の異常に気が付いた。
心臓の鼓動が早く、身体がアツイ。
(なんで僕は鼓動が早くなってるんだろう?
おかしいな、ちっとも静まらないや……病気かな?)
人を知らないミズキには、この感情が何であるのかなど分かるハズもない。
だがそれは、その感情は………
いや、この言葉はまだ言うべきではないかもしれない。
きっとミズキ自身が、気付くべきことなのだから。
だが……少女がミズキを見てとった反応は全く違っていた。
肩を……いや、身体全体を大きくブルブルと震わせ歯をカチカチとならし、少女の赤い瞳には、美しさには似合わない恐怖が刻み込まれている。
「あっあっあっあっ」
少女は声にならない声を出しながら、なおも怖いものを見るような目でミズキをジッと見ていた。
「あの、大丈夫ですか?」
だが少女は答えない。
そんな時、ミズキは少女の首筋に赤い血がながれているのを見つけた。それを見て怪我をしていることが分かったミズキは、急いで救急箱と言う医療品が入った箱をもってくる。
傷は浅そうだが急いで救急箱を開ける。
そして、震えている少女の首に包帯を巻こうとしたその時
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