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少女は抵抗し続けていたが、やがてミズキの手から少女が離された。
少女は咄嗟に離されたことにより、後ろへと数歩フラフラとしていたが、なんとか体制を整える。
風に吹かれて、青い髪がさらさらと吹き流れていた。
そんな時、少女は赤い瞳を見開く。
そんな少女の目に映ったのは、夜の中でも目立つ壮大な一本桜であった。
家なんかよりもとても大きく、鮮やかなピンク色に染まる桜の花が、散りながらも咲きほこっている。
少女はそんな幻想的な光景に目を奪われた。
こんな光景は、どこにもありはしない。
「す、すごいです……」
「だよね、僕もそう思うよ」
少女は反応が返ってきたことにビックリし、小さく震えていたがなおも桜を見ている。
少女のその瞳からは恐怖は消え、美しさが際立つ。
そんな少女を見て、突然ミズキは思ったことを口にしていた。
「この桜はね、桜空(サクラゾラ)って言う名前の桜なんだ。
この桜を見ると心が素直になってくる。
君が桜を見る目は輝いているよ、君が何を恐がっているかなんて僕には分からないけどさ……
君には今見たいな笑顔の方が似合ってると思うよ。」
ミズキはさっきのような寂しい笑顔ではなく、顔を少し赤くして優しく微笑んでいた。
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