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少女はミズキに言われハッとして、自分の両手で、口元が少し上に上がり笑っている頬を触りながら、不思議そうな顔をしていた。
「えっ、笑顔……
わ、笑ったのなんて久しぶり……」
少女は自分自身の笑顔に……
なぜ笑顔なのかに困惑していた。
だがミズキは屈託のない笑顔をして言う。
「笑顔は作るものなんかじゃないんだ。
嬉しいから笑って、楽しいから笑う、悲しいなら泣いて、自分が今一番どこにいたいかを考えるんだよ。」
言いながらも、ミズキは幸せそうに心からの笑顔をしていた。
そんなミズキを見てか、はたまた、ただ単に独り言かもしれない。
「今一番どこにいたいか……か
私には戻る場所……なんてないんだ……
でも今はこの桜を見ていたい……
それが……今の私の願い……」
少女は小さな声で確かにそう言ったのだった。
耳を澄まさなければ聞こえないが、そんな言葉をミズキは聞き流しはしない。
「だったら……
だったら、この村に住めばいいよ。」
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