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「この村はね、もう僕しか住んでいないんだよ。
僕には動物達しかいないから。」
言った後には、もうミズキから笑顔は消えていた。
変わりに、どこか遠くを見つめる淀んだ目が悲しみを告げている。
少女は色んな意味で驚いていた。
そして、同時に言ったしまったことに多少の後悔をする。
「え、え……1人なんですか?
で、でもそれでも貴方には迷惑をかけたくないです……
貴方はとても優しいから、私みたいなのと関わってはいけないの……」
少女は無理やりなのか、ぎこちなく笑っていた、
そんな少女を見てミズキは笑顔に戻る。
「だから……ゴメンね」
少女がそう言い終わった後、自分の目を疑った。
目の前には、笑顔に戻ったはずのミズキが、ポタポタと大粒の涙を流していたのである。
「いくらでも迷惑をかけたってかまわない。
いや、迷惑なんかじゃないんです。
僕が貴方を守ります、だから、だから……
もう……1人は嫌なんです。」
そこまで言うと、ミズキの声は涙で声にならなくなっていた。
少女は心の中に暖かい何かを感じる。
初めてもらう優しさ、初めて感じた人の悲しみ。
だが少女は首を横に振った。
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