Steer

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コンコン――     「入って良いわよ」     ガチャ―     気配で俺と分かって居たのだろう。ノックをすると普通に返事が返ってきた。     「何か用かしら?」     「まぁ、特にこれと言ったのはないけど……さっきの不躾な質問は悪かった」     部屋は黒に赤の暗くも濃い明るさのある部屋だ。 お姫様が暮らす部屋が黒と赤が基調になった感じだ。     「別に良いわよ。いずれ話さないといけない事だから……」     「まぁ…そうか……後、契約はどうするんだ?」    "契約"そう言った瞬間に、イヴァが妖艶に微笑んだ。嫌な予感しかしない。     「魔界の契約は性交なのよ……だから――」     「嘘つけ。同性なら無理だろ」     「…………つまらない男」     全く……つまらないは酷くないか?     「まぁ、良いわ。契約は口付け……こっちに来なさいよ」     「はいはい……」     本当なら別に口付けしなくても出来そうな気がするけど、魔界の契約については知らないし、これ以上何か言うと五月蠅いだろうからキスぐらい我慢する。   まぁ、梓と魔力交配の時にキスするから別段問題ではない。   .
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