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「……くッ!!」
「ちょっと……何よこれ!?」
此所は星界……地球の日本。
少年と少女は路地を駆け抜けていた。
「本当に何だよこれ……」
人通りのない裏路地。
少年と少女は魔法陣に追われていた。
「どうするのよリン!?」
逃げても逃げても追ってくる淡く黒に光る魔法陣。
暗闇でもなぜか分かるその黒色。
少年の前を走る少女は焦り苛立っているようで、後ろを走っている少年に度々なにか怒鳴っていた。
「はぁ……仕方ない」
「え……リン……? ちょっと――」
後ろで何か唱える少年に、少女は焦ったような表情で急いで振り返る。
「……俺は大丈夫だ。必ずまた会えるさ」
リンと呼ばれた少年が唱えた魔法は転送の高等魔術。
そんな少年の別れともとれる言葉を最後に、何か言う前に魔法陣に包まれ少女の姿は路地から消えた。
少年の周りは黒に光る魔法陣で逃げ場は見あたらなかった。
少年はもう逃げる事はせずに、足元に光り迫って来た魔法陣をただ見ていた。
そんな少年の行動を諦めたと判断したのか、魔法陣はそれ以上増えることなく、少年の足元で一層強い光をあげる。
眩い黒の奔流を後に、少年の姿と多数あった魔法陣はなくなり、路地はまた静かに暗くなった。
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