ブルーオーシャン

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「ん~……。ユウイチ・オオカワ。本日17:00付けで少尉昇格。  同時にこの転移で3002年へ転属。チーム・ブリットへ配属。  ……間違いは無いか?」 時空転移前の最終審査。 戦時中とはいえ、過去へ赴くにはそれなりの手順と言うものがある。 体力・血液・DNA。レベルⅡ以上の病原菌の有無。 そういった事が全て、この部屋の壁に埋まったセンサー類でチェックされ、 一つでも異常があれば、壁に偽装したビーム砲で全身が蜂の巣にされているところだ。 しかし――心身ともに良好である以上、不用意におびえることも無い。 「間違いありません」 「よし……転移を許可する。……しかし驚いたな。私も噂で君のことは聞いていたが……その歳で尉官入りとは」 確かに――そうかもしれない。エリートでも無いのに、16歳で尉官入りしたのは俺も聞いたことが無い。 どうやら、俺は尉官最年少記録を更新した……ということか。しかし―― 「言葉を返すようですが……俺は軍属になって八年です。 他の皆に比べれば、昇進したのは少々遅いものかと――」 「それは15歳以下のものは曹長以上の階級になれんからな。 しかし……最年少尉官が、一度に二人……か」 「二人……?」 俺のその問いに――担当の士官は苦笑すると、 「知らんのか? 君と同様、やはり尉官になった新兵がもう一人いる。配属先は…… 君と同じ、チーム・ブリットだ。向こうで会ってみるといい」 同僚……ということか。 俺と同じということは、それなりに腕も立つ……という風に考えてもいい、ということなのだろう。 短い付き合いには、互いにならないで欲しいものだが。 と――担当の士官が、自らの腕時計に目を落として―― 一つ頷き、操作盤のボタンを押した。 ばしゅ、という異音と共に、気密を利用し強固に閉鎖された強化金属の扉がスライドする。 ……そろそろ、時間か。 「では、ユウイチ少尉。……貴官の頭上に、日輪の在らんことを……」 「はっ。 ……陽光を、我が手に」 敬礼を返して――俺は扉の奥へと歩を進めていった。 俺が完全に通り過ぎたのを確認して――扉は再び閉じられる。
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