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なんとまあ一番上と一番下が同じだよ! 女の子に何言わせるんだか。このこの☆」
57本……絶望的な数だな。半数以上も残っているじゃないか。
……だがまあ、仕方ない。やはり一つ一つ、虱潰しに歩いて調べていくしかないか……。
「……脱いじゃうよ?」
「それはやめろ」
「え!? 何々、気付いていたの?」
「耳元でそれだけ騒げば気付くだろう。……単に無視していただけだ」
軍は人を殺すことを合法化した組織団体だ。他者を殺すな――
理性における最大禁忌を破っていけば、自ずと人間としての最低限の箍も随分と緩んでくる。
先刻通った通路の中にも数本。その際たるものがあった。
腐臭と性臭がこびりつき、壁は想像したくもないような液体でしみが出来、
生ゴミのように壁にへたり込む兵士は、恐らくその半分が本当に生ゴミと化しつつあるのであろう。
V.A。搭乗時の精神安定を兼ねた薬物を、明らかに基準違反量摂取したであろう彼らは、
あえぎ声とも苦痛の呻きともつかないほどに呂律の回っていない声で、何かをぶつぶつと呟いている。
そして――そういった類の――こいつも含めて――の対処は、無視に限る。
ややこしいことに自分から首を突っ込んでいくほど、俺は暇では無い。
……それが降りかかる火の粉なのなら、叩き潰すが……な。
「なになに? 逆ナン初めてで、緊張しちゃったとか~?」
「精神科の医務室ならこっちとは逆方向だ」
「……あれ……ざっくり一刀両断……って感じ?」
……まだ、ついてくるか。前述しておくが、俺はこいつとは初対面だ。名前も知らない。
そしてもう二度と会うことも無いだろう。確かに、俺の配属先は俺を筆頭・未成年者ばかりだが――
16歳なのは俺を除き、あと一人――最年少で少尉になった、もう一人のみ。
ちら、と報告書に目を通したが――確かに、思った以上にその実力は高いようだ。
戦闘シミュレーターの訓練の一つにある、敵V.A.に包囲されるという状況シュミレート。
20秒、撃墜されずに機体を操れたならV.A.パイロットの資質ありといわれるそのシミュレートを、
初弾を被弾するまでに3分。その間に、包囲したV.A.を75機撃破している。
俺の成績が3分12秒、68機。……実力はほぼ互角、ということだ。
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