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「君の価値は君ではなく別の誰かが決めるんだよ」
先輩は言う。
僕は自分で自分を見極めたつもりになって、怒られた。
放課後になって、先輩と屋上に上がり、その話をしていた。
「けど、自分を良く知り、分かっているのは、ほかでもない僕自身ですよ」
「それは違うよ」
先輩はその長い髪を揺らしながら振り返り、微笑をたたえながら言う。
「どれだけ自分を分かっても、価値を付けるのは赤の他人」
先輩の顔は逆光で良く見えないが、かすかに悲しそうに見えた。
「例えばそれは学校の先生であり、会社の上司であり、良き友人でもある。そして……」
先輩はもう一度振り返って金網を掴んだ。
「例えばそれは、自分の両親」
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