白雪姫

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ある国のお妃が、雪のように肌が白く、血のように頬が赤く、黒灰のように髪が黒い子どもがほしいと願っていると、まもなく望みどおりの女の子が産まれました。 この子は白雪姫と名づけられました。 このお妃は、不思議な鏡を持っていて、いつも鏡に問いかけました。 「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」 すると鏡は答えます。 「お妃様、あなたが世界で一番美しい」 お妃はこの答えを聞いては満足していました。 白雪姫がすくすくと美しく成長して七歳になった、ある日のことです。 いつものようにお妃が鏡に問いかけると、鏡が突然、 「それは白雪姫です」 と答えたのです。 お妃はこの答えを聞いて、真っ青になりました。 たとえ実の娘でも、自分より美しいというのは、許せないことでした。 「おとなしそうな顔をして、白雪姫も心のなかでは、自分のほうが美しい、と私をせせら笑っているに違いない。王の愛情をみすみすとられてたまるものか」 お妃は、悔しさのあまり、猟師に白雪姫を殺すように命じました。 そして、殺したという証に肺と肝を持ってくるようにいいつけたのです。
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