悪夢のハジマリ

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「イクト…お前は売られたんだよ、母親に」 『売られた?お母さんに?まさかっ、お母さんがそんなことする訳ないよ、だって私っ、』 「もう諦めな…このサーカスからは逃げ出せはしない。」 『なんでよ…お母さんっ、ぅ、ヒック、グスッ…』 ついにイクトは泣き出してしまう。 「オレはナズナ、こっちは双子の妹のスズナだ」 「今日からお姉ちゃんと私でイクトさんのお世話係を任されてます、何か分からないことがあったら何でも聞いて下さいね。」 スズナはイクトの頭を撫で、あやしている。 『…ねぇ、このサーカスは何なの?何で私売られたの?』 「ここのサーカスは、いらなくなった子供達を買い取って芸を覚えさせています。」 『私もいらなくなったって、お母さんに思われたの?』 「さあな、でもここにいる大体の子供は、単に邪魔だから売られたか、両親が金に困って売られたかのどちらかだよ。」 『お母さん、私が邪魔だったのかなぁ…?』 「…さあな、オレ達にもそれは分からない。」 ナズナは辛そうに答える。 「このサーカスでは、使えない子供はすぐに消される。でも、オレ達は生き残ってみせる。」 「生き残ってこのサーカスを出て、二人で小さなお店を出すのが今の夢なんです。」 『そうなんだ…きっと叶うよ!』 「ありがとうございます。」 スズナはとても嬉しそうに笑った。 「それじゃ、イクトさん今日は疲れてるでしょ?もう休みましょう」 確かに今日はいろんなことがありすぎた。 そのせいでイクトは既に眠そうにしている。 「そうだな、じゃあお前の部屋まで案内するから、ついておいで」 そう言い双子は歩き出した。 next→
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