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最初のテントから出て、少し歩いたところにそこはあった。
外側からは只の大きなテントがあるようにしか見えなかったが、裏口を抜けると表からは見えない位置に動物の檻や、いくつかの少し大きめなテントがあった。
どうやらサーカスの団員はそこで暮らしているようだった。
その中のひとつの小部屋にイクトは案内された。
「ここがお前の部屋だ。オレ達の部屋は三つ離れたところにある。」
「何かあったら来てくださいね、待ってますから」
「それじゃ、また明日な。」
「明日からは早速練習などが始まります、ゆっくり休んでくださいね。」
そう言って双子は自分たちの部屋に戻って行った。
イクトも宛がわれた部屋に入る。
そこは殺風景で小さな部屋で、ベッドと化粧台、クローゼットがあるだけだったが、今のイクトには充分なものだった。
イクトは溜め息をつき、ベッドに入る。
『私…これからどうなっちゃうんだろうな…』
ぽつりと呟き、枕に顔を埋める。
まだ殺されることはないと思うけど、それでも不安だな。
明日から何をするんだろう、怖い。
『…疲れちゃった、寝よう。』
もう何も考えたくなくなったイクトは、眠りについた。
第一話、悪夢のハジマリ
end
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