42人が本棚に入れています
本棚に追加
―ありがとうの言葉を―
だんだん暖かくなってきたこの時期に、俺はある場所に向かっていた。
それはNHKにある中庭だ。
そこで今日誕生日である遼と待ち合わせている。
ずっと俺を憧れだと言ってくれた遼にプレゼントを渡したくて、昨日電話をした。
そしたらすごく嬉しそうな弾む声で喜んでくれた。だから俺も素直に嬉しかった。
「遼っ」
「あっ!!翔太くーんっ」
あきらかさまに嬉しそうな笑みを浮かべて走ってくる遼は、変わらずに可愛くて、憎めない。
天てれを卒業した今でも、俺を慕ってくれる遼の存在に、俺は幾度となく励まされた。
「はい、プレゼント」
「うわあっ♪憧れの翔太くんからプレゼントだあっ!!開けてもいいっ?!」
半ば興奮気味に遼はぴょんぴょんとジャンプして、そう言った。
「いいよ」
俺がそう言うと、パァーっとした笑顔を見せて、急いでプレゼントを開けた。
プレゼントはシルバークロスのネックレス。シンプルで、かつ、おしゃれしやすいものを選んだ。
「うわあっ!!キレーイ、ヤバーイ、かっこいいーっ♪翔太くん、ありがとうっ」
絶対大切にするねっ!遼はそう言って、またネックレスに目をやった。本当に嬉しそうな顔で…
「遼、ありがとね」
「へ?なんで翔太くんがお礼を言うの?」
「んー、なんでもない」
「変な翔太くーんっ」
天てれにいる時も卒業してからも、ずっとずっと遼は俺を慕ってくれた。
卒業したら皆に忘れられるんじゃないかって思ったことあったけど、遼はそんな思いをかき消してくれた。
遼の存在が俺を強くさせてくれた。
誕生日という今日、心から遼へ…―
―ありがとうの言葉を―
(これからもよろしく)
_
最初のコメントを投稿しよう!