なにげない日常が

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「おはよう、ハサレイ。」 後ろからそう話しかけてくる声がして、ハサレイと呼ばれた青年は後ろを振り返った。頭を打って起きてしまった後、二度寝も面倒で起きてくると薪がだいぶ減っていたため、割っていたのである。タンクトップに短パンと、寝巻きのまま。さらに歯ブラシをくわえている。 「ん?テュラばぁちゃん…。」 テュラばあちゃんと呼ばれたその女性は、ハサレイを「困った子ね」、といった感じの表情で見下ろしていた。 「そんな格好で薪割りして…着替えてから薪割りすればいいのに…。」 「だって、だいぶ減ってたのが目に付いたから…。 それにばあちゃん、結構、歳なんだからこういうのは若いのがやった方がいいでしょ?」 あらあらと言いながら、テュラは足元の堅い殻の木の実を拾った。 「心配無用よ?私が昔、エヴァンシアの自警団で結構な腕前の剣士だったって、何度か話したでしょ?」 と言っている間に、拾われた木の実はテュラの人差し指と親指によって、粉砕されてしまった。テュラの表情には、力んだ様子は一切見られず、むしろ余裕を感じた。 「薪割りは大丈夫よ。それより、はやく着替えてご飯食べちゃいなさい、仕事あるんだから。」 テュラには頭が上がらない。ハサレイはそうしますと呟くと、近くにある井戸へ向かっていった。
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