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もし、ばらしたとして、自分達自身が何か変わる訳では無い。
謐が危惧する事にも、動じる必要は無いのだ。
他者の見る目など、トキとツキにとって、そう大きくはない。
だが、周りは少なからず変化する。
動揺も、不安も湧き出てくる。
そして、リイ達の軍勢が動き始めた今、それらは加速する。
同時に、その不安や動揺が加速すれば、今均衡を保っている五大勢力の統率が綻び、崩れてしまうかもしれない。
―――あくまで、仮説の域だが。
実際、五大勢力の下に付く死神達は弱くはないし、其処まで脆いとは、考えがたい。
だが、民に降り掛かる不安は確かなもの。
――安易に決める事は出来ない。
トキとツキは僅かに眉を潜め、そう、考えを巡らせた。
―――アルside――
ゆらり。とリイ達が消えた空に目を向けた。
「やはり、ですか。」
呟いて、一つ溜息を洩らす。
危惧していた事。
トキとツキの言葉により、それはより確信に近づき、そして、実現した。
金色の目を細めデスサイズである大剣を見つめる。
そして、リイの発言。
「……―――。」
それの所為で、トキとツキに視線が集まっているし、学園長にいたっては、恐らく確信している。
…面倒な事をしてくれたものです。
と思いつつ、双子の方へと足を進めた。
「……しかし。」
2人にとって悪い事ばかりでは無いでしょう。
しかし、良い事ばかりでは無い。
あの子達はまだ幼く、私達五大勢力の庇護下に有った方が良い。
だが、あの子達【篠月】の血の者。
トキとツキ以外の【篠月】の血族は、様々な世界へと姿を消しているため、今現在トキとツキしか居ない。
だからこそ周りはどれだけ幼くても、戦力になれば【篠月】として、あの子達を闘いに巻き込む危険性がある。
そうさせないため、私達がいますが、肝心の2人はどう考えているのでしょう。
肝心な2人は相変わらず無表情のままだ。
「トキ、ツキ。」
2人の少し後ろに立って、名を呼ぶと、くるりと此方を向き、抱き付いてくる。
微かに2人は微笑う。
ゆっくりと抱き上げて、柔らかく優しく問う。
「あなた達はどうしたいですか?」
全てはこの2人の決定によるのだ。
そう訊いたまま、2人の頭を撫でていると、ふわりとトキとツキは微笑んだ。
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