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白の言う事は尤もだ。
特に【蜃気楼】の様に実力に重きを置いた勢力の幹部には、人格や理性が歪んでいる者達が自然と集まってしまう。
それでも、仲間と共生出来るので有れば、引き入れることも可能だ。
だからこそ【蜃気楼】の内部には【監獄】なる、白が統括し、サクリファイスが管理する場所が有るのだ。
最後の理性という鎖が外れてしまった者や外れ掛かっている者達の為の。
「とはいっても余り、意味は有りませんでしたね。」
白が自嘲じみた笑みを浮かべて吐き捨てた。
「あの兄妹を【蜃気楼】に引き入れた事で出来た事を挙げるなら、抑止力の有る者が上にいる事で、彼らの行動に制限を掛けた事。…か?」
「その程度でしょうね。――訂正を入れるなら“引き入れた”と言うよりは、“自ら入らせて貰いたい”と言って来ましたね。」
『!』
普通なら、リイの様な思想を持った人物は誰かの傘下に入ろうとは思わないはずだ。
しかし何かしら思惑が有るならば、それも不思議ではない。
――ならばどんな意図が有るのか。
「今の死神の力量を測る為。と、考えられそうですね。」
アルが静かにそう言えば、シャリオンが面倒臭そうに頷いた。
「それが有力なんじゃない?。今の死神の力はどの位か、どれ程の時間を割けば良いか。を見てたんじゃ無いかな?。――白だって四六時中リイの心を見ていれる訳では無いだろうし。」
「えぇ。」
白の能力は【心眼(シンガン)】。心は無防備である事が多いのだ。
それを利用し、心を暴き、見る事が出来る。…が、例外も勿論有る。
例えば、自分で、自分を偽り続けた者。
こういう者は、自分自身の心を偽り、自分の心すら、確立出来ない。
読む。という事は出来るだろうが、何処までが真実で何処までが嘘なのか。というのが判断しにくいのだ。
。何故ならば、そのひと自身も、自分の心を解っていないからだ。
まぁ。其処まで歪な精神を持った死神は酷く稀だが。
次にトキとツキの様に、精神の内に【精神世界を護る者】がいる場合。
そして、白の力量と相手の力量の差が大き過ぎる場合。
極端に言うならば、白と一縷が対峙した場合、白は彼の心を読む事は出来ない。
力の差が大き過ぎるからだ。
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