プロローグ

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 ルーファウスカンパニービルの階段を下りて一階フロアーに姿を現した兵士が二人に敬礼をする。 「ルーファウス大将、九里坂中佐、お待ちしておりました。会議室の準備が出来ております」  二人に返礼の代わりに軽く手を振り九里坂 悦子(くりさか えつこ)はカイン=ルーファウスと共に会議室に向かった。  ビルの五階に上がり比較的無傷な部屋に案内された部屋は、お世辞にも会議室と呼べる程のものではなく、長テーブルとパイプ椅子とホワイトボードと通信機のみの簡素なものだった。 「国連軍情報部からの報告です。やはり“摂理原理主義”の“リーディスト(読取者)”によるものです」  本来アカシックタブレットに刻まれた神や悪魔達の情報を読み取り、現世に使役してその力を駆使する者“リーディスト”と使役される側である“アヴァター・イブ(人型情報体の略称、通称アヴァター)とウェポン・イブ(兵器型情報体で通称はウェイブ)”は、国家機関管理の下、世界発展の為に尽力してきた存在であった。  それが今回の事件の首謀者と国民に知られたら大きな混乱を招くと危惧し、情報は制限されていた。  しかもたった数人のリーディスト達によってニューヨークマンハッタン島を壊滅にまで追い込んだのだから、アカシックタブレットに関する犯罪至上最悪のケースであるのは確かだった。    カインは国連特殊作戦軍の大将でありながら捜査の前線に出てきたのは、カインが組織したリーディスト部隊を投入されることが決まり、早くも諜報活動が行われていて、この手の事件には他の誰よりも扱っているからである。  
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