D/こどものじかん

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 それから二人は、何かを振り払うように修業を始めた。  しかしどれだけ身体を動かしても消えない芯の焼け付くような熱さが、二人をぎりぎりまで動かすのだった。      悟空はベジータを愛してると言った。悟飯に聞いた事がある、【好き】のもっと上が【愛してる】なのだと。    好きなら…キスじゃないのか。 二人がしていた行為は、キスより甘美な誘惑をしている気がした。   なら…。    フラフラとどちらからともなく、地面に倒れ込んだ。 空を見上げると既に一面が夕日色に染まっていた。      トランクスはゆっくり起き上がり悟天に近寄る。 そのままゆっくりと口づけると、悟天は固まってかぁーと顔を赤くした。夕日も手伝って、悟天の顔はいつもより真っ赤に見えた。     「っ何すんのさイキナリ!」   「…へへ。…なぁ悟天」   「な、なぁに?」   「さっき父さん達がしてたの…」      そこまで言いかけると、悟天はガバッと起き上がり後ずさった。     「しっ知らないっ!!」   「…まだ何も言ってねぇ」   「う…」      トランクスに迫られ、また鼓動が早くなる。 さっきの行為自体に、もちろん興味はある。あれをすれば、もっとトランクスと判り合える気がした。 けど、だからこそ怖かった。   …踏み出してはいけない関係を、踏み出そうとしているのではないだろうか。    悩んでいる悟天を尻目に、トランクスは口を開く。     「あれって好きな人同士がするもんだろ?キスの次…にすんじゃねぇかな?」   「だけど…」   「やってみたりしねぇ?」   「…」      トランクスに言い寄られて、じりじりと後ろに下がる。     「そんな…で、でも…怖いよ…」
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