D/こどものじかん

9/9
前へ
/50ページ
次へ
 悟天は顔を伏せると、ぽつりとそうつぶやいた。トランクスはきょとんと首を傾げる。 「何が?」   「何が…って、怖くない?トランクスくん…」   「別に?」      悟天の様子も気にもしないで、トランクスは相手の手を握った。     「わ…」   「好きだぞ、悟天…」   「…っ」      悟天の胸が高鳴る。 自分だって好きだ。 でもだからって、あんな行為が出来る程覚悟も決まっていない。    その迷いを掻き消すように、トランクスはまた口づける。     「大丈夫だって…」      トランクスはさっき見たように、悟天を押し倒した。 悟天はそのまま倒れ込むが、抵抗はせずにトランクスを見上げた。 抵抗をしなかったのは、トランクスが好きだからか。だがもうそんな事はどうでも良かった。  もう何も、考える余裕がない。     「トランクス君…ホントにするの…?」      不安そうに見上げると、トランクスは明るく笑った。     「当ったり前だろ!お前だって興味あんだろ?」   「そーだけどぉ…」   「大丈夫、怖くねーって」     ちゅ、と頬に口づけられる。  トランクスにそう言われると、大丈夫な気がしてくる。 悟天は覚悟を決め、トランクスを見つめた。   大丈夫。 だって好きだから。     「…わかった…」   「よっし!」   「でもっ!!」      悟天はぐ、と相手を押し退ける。     「また明日…」   「はぁ!?覚悟出来たんだろー!?」   「出来たけどっ今日じゃないもんっ!!」      悟天はべーと舌を出すとふわ、と浮き上がった。 そのまま家に向かって飛び出すと、トランクスが叫びながら追い掛けてきた。     「こらー嘘つき悟天ーっ!!」   「嘘ついてないもーん!」      二人の楽しそうな笑い声がいつまでも夕焼けに響いていた。             End.
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加