落/深森

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「…いやいや」      浮かんでしまう最悪の行為に、ぶんぶんと頭を振った。 滝夜叉丸は笑顔を消して首を傾げる。     「先輩…?」      その仕種にまた胸が高鳴る。 …いや、高鳴っただけじゃない。 下半身がずくんと疼いた。     「う、わ…っ」   「え?え?」      途端に身体が熱を持つ。 帰れるという安心からか、堪らなく頭が痺れた。  滝夜叉丸はイキナリ私が前のめりになり驚いたのだろう、慌てて私の顔を覗き込んだ。  その視線にすら身体を震わせる。     ああ。   獣か、私は。   森での生活が板について、心まで獣になってしまったか。   もう何も考えられない。 ただ欲求のみが私の身体を動かした。     「…滝夜叉丸…」   「?なんですか?」   「先に謝っとく。ごめん」   「…え?ちょ…!」      滝夜叉丸の腕を引っ張り、そのまま逆方向に押し倒す。 突然の行動に、滝夜叉丸はただ呆然としている感じだ。 まぁ、当たり前だよな。イキナリ押し倒されたら誰だって驚く。    頭の中は妙に冷静なまま、滝夜叉丸にゆっくりと口づけた。
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