オ/瞬間ダイブ

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「んあー飲み過ぎた…!」 「ねーオレもう駄目。メグミさんちに泊まらしてー」 「おー、来い来い!なんもないけど!」  …ん?  …そういえば。 来いと言ってしまいましたが確か…こいつはオレを『抱きたい』んだっけ…? 前にそんな話をされた、ような… アレ? …じゃあヤバくね?  …と考えたのは酔った松田を家にあげた後でした。 なんとバッドタイミング、俺…! 「あぁー、もう、無理」  松田が真っ赤な顔でへらへらしながら倒れ込んだのはオレのベッド。  ベ、ベッド…!!  …いやいや。 こいつ酔ってるじゃん? まぁオレもだけど…。 だからあの時の事なんて忘れてる、だろ。 多分…。 「メグミさーん…水ー…」 「おっ、おぉ!」  名前を呼ばれて一瞬心臓が飛び出たのは内緒です…。 オレ、緊張するなよー…? コップに水を汲み手渡すと、松田はそれを一気に飲み干し、またベッドへと倒れた。 …オレの手を引いて。 「おわっ!?」  真っ直ぐ引くもんだからオレの上体はそのまま松田の真上へと倒れた。 うっと一瞬息をつめた松田は、ぐい、とオレの背中を抱きしめた。 「ひぇ…!」  密着した松田の体温がとても熱くて、オレはなんとも情けない声を出してしまった。  や、やばいっっ。 もしかしてこの流れ…って…。 「メグミさん…」 「、…ッ」  いつもより低音で、耳元でそう囁く彼の声にぎくんと身体が跳ねる。 松田の背中に回していた手が、腰に下がって…きて…。 「メグミさん…お腹ぷにぷにだ」 「………」  そのまま前に回ってきた手は、オレの脇腹の肉をむんずと掴んできた。 …なんか構え損…!  だけど、確かに最近お腹周りがヤバいなぁとは感じていた…。 だって最近、飲みに行ってばっかだし…。 「うっせ…!じ、自覚あんだから、あんま触んな!」 「ふーん…」  とりあえずなんとか松田の上から退こうと上体を起こしたけど、お腹を掴まれたままなのであまり動けず…。 「な、んだよー…厭味…?」 「いえ、下見…」 「下…?」 「安心してください、今日はしませんから」  にっこりと笑う松田にいよいよ危機感を感じました…。 End.
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