オ/瞬間ジェラシィ

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「…オレ…オレは…」  ヤバい…このままじゃ全部分かっちゃう、かも…。 この感情も…松田に対する気持ちも…。 「…メグミさん…」  松田が優しくオレの頬を撫でた、その時。 「あれー颯太じゃん?」  松田のはるか後ろに、この間の、女の子…。 松田は一瞬肩を強張らせ、ゆっくり女の子を振り返った。  …なんだよ…。タイミング悪すぎ…。 「…お前、何でここに」 「今?友達と晩御飯食べてその帰り。颯太は?」 「バイトの帰りで…」 「あ、じゃあその人、例のメグミさんだ?」 「まぁな…」  …無視ですか…。 つか、オレの事話してたんだ…。でも例のってどういう意味だ…? …仲良さそうだよな…。 やっぱムカついてしまう…。 「…ねね、まだ何もしてないの?」 「…まぁ…うん」  顔を近付けてコソコソ話す二人に、段々苛々が増してくる。 それに耐えられなくなって、オレはくるりと踵を返した。 やっぱ二人ってそういう関係…なんだよな…。 うぅ…考えたくねぇ…。 頭をぶんぶん振って立ち去ろうとしたとき、松田にがっしり腕を掴まれてしまった。 「うっ…!」 「ちょっと…まだ話終わってませんよ?」 「はっ…離せよ…。恋人同士の邪魔しちゃ悪いだろっ」 「…は?…誰と誰が、恋人だって?」 「お前とっその子…!隠したって無駄だぞ、オレ二人で歩いてるとこ見たんだからなっ」 「あぁ…この間の…」  ひたすら冷静な松田を見てると、熱くなってるオレが馬鹿みたいに思えてくる。 その時、オレらの会話を聞いていた例の子がパッとオレと松田の間に入ってきた。 「んもうっ颯太!アンタそんなんだからいつまで経っても駄目なのよ!」 「うるせーな賢太。入ってくんな」 「ちょ!賢太って言うな!」 …お? 「…賢太…?この子が?」 「こいつです」  さっきまでの怒りを忘れて松田を見上げると、松田は目の前の女の子を指差した。 …けんた?…え? …もしかして。 「今はマリーですっ」  きゅるんと可愛いポーズを決めてみせる賢…マリーさん。 「え、じゃあまさか…」 「オカマですよこいつ」
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