D/痛むから

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「ばれんたいん?」  ブルマにチョコを渡されたオレはそう呟いて首を傾げた。 ブルマはにっこりと笑う。 「そ、好きな人にチョコあげる日なのよ?」 「…オレ、甘い物は、」 「食べないと!泣くから」 「…お前…」 「じゃ買い物行ってくるわね」  軽く説明をした後に脅しに近い言葉を残して、ブルマは去っていった。 オレはチョコを持ったまま立ち尽くす。  可愛らしくラッピングされているコレは、好きな奴にあげるもの、らしい。 そりゃ、オレだってあいつの事は嫌いじゃない。 チョコをくれた時は純粋に嬉しかったし、ブルマはいつもオレに優しく接してきた。 他の誰とも違う、優しさをくれた。 「…いや」  もう一人いたな、と呟き苦笑した。 アホみたいにオレを信じて、オレに優しくしてきたやつ。 …そうか。 あいつも今頃、チョコを貰っているのだろう。 嬉しそうな顔をして受け取る姿が目に浮かぶようだった。 「…って…」  途端、胸がぐっと詰まったように苦しくなった。 …なんだ?  胸を抑えながら、自室に戻る。
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