オ/珈琲

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「…野川さん、笠原さんは独身なんですかね?」 「…え、知らない…。だと思うよ。いっつも残業してる」 「…ふーん」  とある街中のオフィス。 オレは普通の会社員。ピチピチの23歳。ヤリたい盛り?いやいや、普通の健康男子。 健康男子の目線は常日頃、奥のデスクの一人に向けられています。 デスクに向かいコーヒーを飲みながら、憂いを帯びた眼でPCを見つめている、推定40歳後半の笠原さんに。 好き? いやいや、大好きです。 ヤリたい盛りの健康男子がヤリたくなるくらいに。 向こうは既に盛り過ぎてんだろうけど…。 そこをまた盛らせるのも、中々そそる訳で。 「とりあえずコーヒー飲めるようになるよ、オレは」 「…話の脈絡がないなお前は」 「そして目覚めさせるよ!」 「誰を?」  野川を無視しがたんと立ち上がると、OLからコーヒーを奪い取り、笠原さんに持って行った。 下心?当たり前です。 「かーさはーらさんっ。コーヒーお持ちしました」 「…あ、いや、今飲んで…」 「冷めたでしょ?こちらどうぞ」 「…あ、ありがとう…ございます…」  …控えめに微笑むのがまたそそり立つ…いや、そそります。 あー…オレはどうしてこんなピチピチなのにこんなおじ様にトキメキ感じてるんでしょうか。 「で、笠原さん」 「…はい」 「男と付き合うってどうお考えですか?」 「…は?」
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