オ/珈琲

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 男は直球勝負がモットーです。 習うより慣れろ、百聞は一見に如かず。 でもオレの直球が仇となったらしく、笠原さんは完璧に引いている…多分。  だけど彼は一瞬なくしかけた笑顔をもう一度オレに向けて、照れたように、困ったように首を傾げた。 「…えーと…。まぁ、個人の自由だから…私は問題無いかと」  …はい。 今見ましたか。見えましたか。 彼の笑顔から放たれた矢が見事オレの腹ど真ん中、萌えポイントに見事に命中しまして…。 これ、は…ヤバすぎ…。 「…っ…」 「…?」  オレはあまりの高揚に笠原さんから受け取った冷めたコーヒーを握りしめ、今が真っ昼間で人が沢山いることも忘れて、大声で叫んでしまった。 「じゃあっそういうのも嗜好としてはあるって事で…!」  …あーオレ。 これでそこそこ順調だった人生ががらっと変わる事になろうとは…。 人肌にぬるまったコーヒーくらい、ほんわりとした笠原さんの笑顔が眩しいです…。 逆に皆の視線は冷たい氷のように痛く突き刺さっております。  すると。 「嗜好…そうですね。私は元々そういう嗜好なので…」 「はっ…?」
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