オ/珈琲

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 またしてもほわっと微笑むと、笠原さんはなんの躊躇もせずに口を開いた。  …か、笠原さん、何やら今物凄いカムアウトを…!? もしかしたら、これって脈ありって事なのでは…!?  皆の視線が気になるのでとりあえず屈み込み、上目で笠原さんを見上げた。 「そ、それはつまり…男が好みだったり…男と致しちゃったり…とか…?」 「あー…。…まぁそうです。最近はあまり、なんですけど。…で、神生くん?」 「は、はいっ?」 「私だけなんてずるくないですか?」 「…あー」  で、すよねー…。 どうする。23歳。 ここで僕もですと告白しちゃえば晴れてぴったりくっついたり出来るんでしょうか。フラれる可能性もあります…。 だけどオレにそこまでの度胸はあるんでしょうか。 目覚めさせるどころか、オレの返答次第で笠原さんとの関係が決まってしまうという状況…。 そしてその状況に自分を追いやったのはオレ自身です。 オレのお馬鹿っ!  ここで僕もですと言うのはきっとたやすい事なんだろうけど…ただ単に心の準備が…。 まさかのジェットコースターのような速度で事が進んでいく展開に、オレは座っているにも関わらず立ちくらみがしてきました。  返答に困って露骨にキョロキョロと眼を泳がせていると、笠原さんが笑顔を絶やさずに更に重いパンチを繰り出して来ました。 「私は、神生くんはそういう嗜好だと思ってたんですが」  …バレてました…。
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