オ/珈琲

5/5
前へ
/50ページ
次へ
やっぱ性癖の合う仲間ってこう、肌で感じるもんなんですね。 「笠原さん、ナイスパンチです…」 「え?」  …ええい、男は直球勝負がモットー! オレは意を決して笠原さんに向き合った。 「確かに…オレはそういう嗜好です。しかも笠原さんはすげータイプだし、ヤりたいって思ったりもします。…け、経験はあんまりないんですけど…笠原さんに満足してもらえるよう努力するつもりですし…で、オレ結構でかいほうですし、どうでしょう…」  ほぼ一息で言い終え笠原さんを見上げた。笑顔は消えていて、ぽかんと口をあけている。まるで時間が止まったようにオレと笠原さんは見つめ合った。  やばい…またしても直球、すぎました。特に最後が。 「あぁぁ何言ってんだオレ…」  笠原さんの顔を見てどっと自己嫌悪の嵐に襲われたオレは頭を抱えてその場で小さくなった。 すると、同時に笠原さんの笑い声。 くすくす笑う声に顔を上げると、目の前に紙が差し出されていた。 「…とりあえず、私はもう若くないですし、若い神生くんと釣り合うかも分かりません。…でもそこまで言うなら、こちらを」 「…へ?」 「携帯の番号。…暇なときにでも飲みに誘って下さい」 「じゃっじゃあ今日にでも!」 「…構いません」 「おぉぉ…」  笠原さん、貴方はどうしてそんな可憐な花のように笑うんですか…。 オレのこれからの人生は貴方の笑顔のようにばら色な気がします…。 「…因みに笠原さんはコーヒーを飲めない男はどうですか…?」 「一緒に飲みたい派です」 「…精進します…」 End.
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加