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どれ位、沈黙の時間が過ぎたのか。
お互い無言になり、相変わらずテレビは賑やかな音を立てる。
『話…出来そう?』
『……うん。』
『じゃあ…何に落ち込んだの?』
『…。私、愛されてるか分からない。』
麗奈はテレビ画面を観ながら言った。
『どうして?』
『友達みたいな感じがする…。』
俺は麗奈の表情を伺いながら言葉を考えた。
麗奈を好きな事に変わりはないのに、麗奈は悩んでいる。
ここで感情を出して、怒りたくなったが、そんな事が解決するだろうか。
麗奈はキャバ嬢。
恋愛に関してはデリケートなはずだ。
俺も同じだから、少し分かる。
付き合う前に麗奈が言っていた言葉を思い出してしまう。
“男に疲れてしまって、恋愛感情が信じられない。客を騙してる私が言うのは間違ってるかも知れないけど、その報いは私のプライベートに返って来てる。”
人を簡単に信用出来ない。
そんな彼女のトラウマであり悩みだ。
今は俺が悩ませている。
『俺が好きって言ってるのは信用出来ない?』
『…分からないから悩んでる。本当みたいな嘘だったらどうしよう、って…。』
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