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『アユムくん、良かったよ。』
『有り難う。嬉しいよ。』
『でも、こんなにHだとは思わなかった(笑)』
そう。これが嘘を吐いた後の結果だった。
男が想像する、現実とは違うエロティシズム。
これを演技するだけで、大抵の男は早くイく。
その言葉を聞いて、俺は安堵する。
終わった……。
時計を見ると、1時間も余っていた。
2Round目に突入しない事を祈るが、相手も1回で満足している様だ。
『また来るからね。』
客は、そう言って着替え始めた。
(早く出れる。)
俺は、そう確信して服を着た。
料金を受け取り、甘える様にお礼を言った俺は客より先に部屋を後にした。
やっと終わった。
1人目だけど。
こんな感じを繰り返し、部屋を後にした俺は、解放感だけが残る。
それが、辞められない理由にも繋がるのかも知れない。
終わると、イライラや拒絶感が消えてしまうのだ。
だからなのか、いつしか《誰かに救って貰いたい》……そんな他力本願な事を考える様になった。
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