柊也の正体

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「しゅっ…柊也君?」 「あぁ?何だよ?」 うっかり着ていた服を脱いでから、 柊也が居た事に気付いた澄麗。 柊也はー……― まじまじと澄麗の着替えを見ていた。 「あの…出てってよ!」 澄麗の言葉に反論して来た。 「何でだよ?澄麗が勝手に脱いだんだろ?」 一向に部屋から出ようとしない柊也に、半ば呆れた様子で服を掴んで部屋から出る。 残された柊也は、妖しく微笑みながら考えている様子。 柊也は単車で来ていた。 ヘルメットを澄麗に渡し、自分の後に乗る様促す。 走り出す単車―… 風を切って走る気持ちよさ。 頬に当たる風が爽やかだ。 「―…着いたぜ」 「…柊也君…ここは…?」 「俺ん家」 いや、どう見てもヤクザの事務所にしか見えないけど…? 「そっちは事務所だ。ウチは裏にある」 「お帰りなさいやし、坊ちゃん」 何だか人相の悪い人達が、柊也君を坊ちゃんって…― 澄麗の思考回路は混乱していた。 「あの…柊也君?聞いてもいい?」 「ん?何だ?」 「柊也君のお家って…」 「親父が組長やってる」 やっぱり…―― 澄麗はようやく理解した。
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