5964人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
「……………」
その様子をただボーッと見ていたリョウは、今更になって一人残された事に気付き、急いで自分の出席番号と同じホログラム室に入った。
『ピピ…認証完了…光沂・リョウ様ですね…ホログラム再生開始します…』
ノイズの混じった合成音がそう説明すると、細い緑色のレーザーが部屋中央に放射され、足の先から規則的にホログラムは再生されていく。
十秒も満たない内にその一人の人物は精製された。
顔は、表向きに指名手配されている人物そのものだった。
「うっし…やるか!」
屈伸を終え、リョウは身を構える。
「今日の気分は…ムエタイだ!!」
リョウは敵に駆け出した。能力はもとより使うつもりはない。
「ッ――~~」
一気に数歩踏み込んでは、あらゆる筋肉・関節を起動させた渾身の蹴りを敵の腹部に叩き込んだ。
『バキバキ!!』
たった一発の蹴りにも関わらず、蹴り飛ばされた腹部を起点に、上半身と下半身は真っ二つにちぎられており、敵は皮一枚でやっと繋がっているような状態だった。
「よしっ!終わり!」
意味もなく言ってみたりするリョウであった。
最初のコメントを投稿しよう!