《Ⅰ章》超能力

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「……………」 その様子をただボーッと見ていたリョウは、今更になって一人残された事に気付き、急いで自分の出席番号と同じホログラム室に入った。 『ピピ…認証完了…光沂・リョウ様ですね…ホログラム再生開始します…』 ノイズの混じった合成音がそう説明すると、細い緑色のレーザーが部屋中央に放射され、足の先から規則的にホログラムは再生されていく。 十秒も満たない内にその一人の人物は精製された。 顔は、表向きに指名手配されている人物そのものだった。 「うっし…やるか!」 屈伸を終え、リョウは身を構える。 「今日の気分は…ムエタイだ!!」 リョウは敵に駆け出した。能力はもとより使うつもりはない。 「ッ――~~」 一気に数歩踏み込んでは、あらゆる筋肉・関節を起動させた渾身の蹴りを敵の腹部に叩き込んだ。 『バキバキ!!』 たった一発の蹴りにも関わらず、蹴り飛ばされた腹部を起点に、上半身と下半身は真っ二つにちぎられており、敵は皮一枚でやっと繋がっているような状態だった。 「よしっ!終わり!」 意味もなく言ってみたりするリョウであった。
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