《Ⅰ章》超能力

14/18
5964人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
『レベルAランク…ターゲット撃破を確認…マタのご利用をお待ちしてオリマス』 ヴーンとホログラムシステムの機能が停止する際の音が聞こえてくる。 そしてリョウは部屋を出て中央演習場を目指した。 「………つまんね…」 そう悪態をついていた時、後ろから声を掛けられた。 「リョウ…お前ももう倒したのか?」 ビクッと肩を震わせたが、言ったことが聞かれていない事に安堵した。 「おお、神谷か。俺の場合ホログラムのレベルが低かったから速攻で倒せたんだろ。 何せ俺は落ちこぼれだからな。 お前は何ランクやってた?」 「俺か?俺は…ギリギリ倒せてAランクだったな…」 「ふ~ん」 「で、お前こそ何ランクだったんだ?」 「ん…俺?俺はまだDランクだけど…」 苦笑しながらそう言ってのける。 もしバラしたりすれば、後々面倒な事になりそうだ。 「……そうか…」 申し訳ないという表情をしながら、曖昧な返事を返す神谷。 これには面食らって、リョウは騙しているという罪悪感が脳を支配した。 「………………」 神妙な雰囲気を漂わせながら、気が付いたら中央演習場に着いていた。 基本的に、早くホログラムシステムと戦闘を終えた者は、中央演習場で待機ということになっている。 クラスの全員が集まるまで、微妙だった雰囲気を少しでも和ませようと、リョウはふざけたりして神谷と談笑をしていた。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!