《Ⅰ章》超能力

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「よーし、じゃあこれで六時間目終わりなー。 あっ、ちなみに帰りの報告事項ないから教室にもどったら勝手に解散していいからなー」 皆が集まったのを見計らったのか、丁度いいタイミングで斑先生は『整理室』から出てきては、歩きながら解散を促した。 生徒達がはーいとか言ってる内に、斑先生はこの闘技場から出て行ってしまった。 教師でここまでやる気ない奴は初めて見た… もうなんて言ったら良いのか…もう教師止めちまえ!!と思考を巡らせるリョウであった。 「じゃ…帰るか…」 「…そうだな」 「うん…」 こうしてリョウ達一同は、教室に鞄を取りに戻った後、帰宅した。 「はぁ…俺を知らない奴はともかく、友に力を隠してる事すら話せない… …俺の私情に巻き込む訳にはいかないからな…」 人の脳や体には危機的状況にしか発動しないリミッターのような物がある。 でもそれは命が危機的状況にある場合や、防衛本能が極限にまで働いた時にしか作用しない。 しかし、脳科学の発達のおかげで、人は常時約40%の脳のリミッターを外しながら生活出来るようになった。 だがリョウは皆とは違う。 リョウは自分の意志でリミッターを100%解除する事が出来るし、その強すぎる力は人々から恐怖の念しか産み出しかねない。 だから極力目立たない為にリョウは落ちこぼれを演じている。 過去に俺の全てを奪ったあいつには報いを与えなくてはならない… そしてなにがなんでもあいつからは真実を聞き出さなくてはならない… …それまで…それまでの辛抱だ… リョウが家に帰る際に見えた夕日は、いつもより赤く濁って見えた。
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