《第Ⅱ章》特殊部隊

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それは日が沈みかけ、夕刻を迎えようという時。 ある薄暗く狭い部屋にて… 無精髭を生やした40代前後の男が 【ブラックリスト】 と書かれたクリアファイルを捲りながら眺めていた。 写真に写っている犯罪者の顔に、ところどころバッテン印が書かれている。 狭い四方に囲まれたその部屋には、雑多に物は置かれておらず、必要最低限な物以外は何も置かれていない。 「またか…ここ最近『Braker』の動きが活発になってきているようだな… 奴は未だ謎に包まれている所は多い。 しかし、何としてもあちら側に身を置く前にこっらに引きこめ」 「はっ、了解しました室長」 室長と呼ばれる男の前で返事をした男は諏佐ノ学園で『インパス』の授業を教える教員【斑 只見】 普段のやる気の無さは微塵も感じられない。 恐らくこれが本来の顔なのだろう。 「ほぅ…そう言うからには面識があるのか?」 「いえ、自分の生徒の中に心当たりがありまして…」 「ふむ…あの学園にか…よし、ならばまずは下準備だ。その生徒の個人情報をこちらに回せ。 そしてその生徒が本物の『Braker』であるか被験体No.08を使って確かめろ。指揮は全任する。 後に報告を怠るな」 「はっ!!」 斑は厳格に敬礼を交わした後、バタンと部屋を後にした。 「さて…一匹狼の『Braker』を引き入れる事によって、億越えの首が産み出される事に少しでも歯止めがかかればいいのだが…」 男は前屈みになりながら顔の前で指を組み、誰も近づけない程の威圧感を放ちながら、鋭い目付きでどこかを見据えていた。
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