《第Ⅱ章》特殊部隊

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『被験体No.08 コードネーム ――《MU》――解除します…――被験体…―』 ピー!!ピー!!と耳をつんざく程の警告音と共に発せられる女性の合成音。 冷や汗をかくリョウは下手に動いたら不味いので身を構えたまま動こうとしない。 すると…… 【プシュー…――】 と白い煙を立てながら箱の蓋がスライドされ解除された。 (何だ……この禍々しい殺気は…) 目を見張ると、リョウはあからさま驚いた表情をした。 シュコー…シュコー…と取り付けられているマスクから聞こえる規則正しい呼吸音。 鉄製の仮面の中央一点から不気味に光る赤い赤外線の光。 そして、薬物乱用の副作用の為に所々跳ねた脈を浮かばせるその化け物は、身体中にまとわりつく邪魔な管を無理矢理バキバキと引きちぎり、ムクッと何事もないように体を起こした。 《ヴヴァァン!!》 鉄と鉄をぶつけたかのような金属音が周囲に響き渡る。 (これは…!!警察直属科捜検の人造サイボーグ!! あまりの非道に実験は二年前打ち切りになった筈…!!) そう悪態をついている間に、人造サイボーグは腰に差してあったサバイバルを二本両手に持つ。 刀身には等間隔に丸い穴が空いてありカスタマイズが可能な仕様になっているが、刃の殺傷能力は申し分ない。
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