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《ヴヴヴヴ!!》
赤外線の光がリョウを視認した瞬間、人造サイボーグは距離五メートルの間隔を僅か0.5秒で走り抜け、確実にリョウの首を跳ねる為に右手のサバイバルナイフを振りかざす。
「チッ!!」
完全に不意を付かれたが、何とか紙一重で避けるリョウ。
人造サイボーグは予測していたのか、左手のサバイバルナイフで躊躇なくリョウを斬りつけようとする。
何とか腰に携えている護身用のナイフを取り出し、応戦しようとするリョウ。だが……
【ガキィン!!】
「なっ!!」
ナイフが鉄製にも関わらず真っ二つに折れてしまった。
すかさず回避行動に移るが、避けきれずに頬をピッと軽くかすってしまう。
ツーと瞬く間に頬から伝う血液。
リョウはそれを腕で拭いながらも舌打ちをし、バックステップで距離を取った。
(脳と肉体のリミット解除率を人工的に100%解除されたサイボーグ……厄介だな……
俺も少し……本気になるか……)
そう考えている内にもいつの間にか人造サイボーグは距離を詰めていた。
《ヴヴァァン!!》
すかさず両手のサバイバルナイフを交差するように振りかざす。
が…気が付くと空を切っており、その場にリョウはいない代わりに、風を切る音が地上になびいた。
「下だ!!」
咄嗟に伏せて回避していたリョウは、ここぞとばかりに左足を踏み込んで渾身の右ストレートを叩き込む。
【ズバァン!!!】
限界速度は音速を越え、鞭で打ったかのような空を裂く破裂音が響いた。
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