髪鬼

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「当たり前よ、鬼の世界だもの」 礼司の運転する車は5分で店の前に着くと5人は車から降りて店の中を覗き込んだ。 「中が真っ暗だ。魔美車からライトを持ってきてくれ」 「はい」 魔美が持ってきた懐中電灯で店内を照らすと5席の椅子があるだけだった。 「鬼、見えませんね」 山野が礼司と顔を並べて覗いても何の変化も無かった。 「間違いか?魔美根付けは?」 礼司が魔美に聞く魔美は根付を持って店内に向って根付を向けた。 「反応が無いわ鬼がいないのかなー?」 魔美は体を屈んで中を覗いた。 「魔美、中に入るぞ」 礼司は入り口のドアを見た。 「厚い!叩き割れない」 「そっちのガラスは?」 山野はドアの脇のウインドウを指差した。 「こっちも駄目だ、厚すぎる」 礼司は山野の持っている小刀を手に取ると気を入れ歯先を青白く光らせガラスを思い切った。 するとその小刀はゴムのように跳ね返った 「おい!結界が張ってあるぞ」 「ええ?」 礼司は車のドアを開けるとみんなを降ろした。 「みんなどいてくれ」 礼司は車のエンジンをかけてアクセルを踏み店の中に突っ込んだ。 「ああ、乱暴だな」
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