写鬼

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男が 「運転手さん」 「はい」 「さっき新幹線 の出口で花田大作 が倒れていました 」 「えっ?どうした んですか?」 「ファンが携帯で 写真を撮っていた ら急に胸を押さえ て」 「まだ若いのにね え」 「芸能人は食事の 時間も寝る時間も 不規則ですからね 」 礼司は自分がテレ ビマンだった頃を 思い出しながら言 った 「そうなんですか ?」 「ええ、みなさん が思っている以上 にひどいですよ」 「なるほど」 男は妻の手をぎゅ っと握った その時、二人の生 きる強さが弱って いるのに礼司は気 がついた 「どちらまで行か れるんですか?」 「ええ、九州まで 」 「あの~、ご主人 」 「はい」 「死じゃだめですよ 」 「は、はい?」 「まだ、奥さんの 認知症それほどひ どくならないです よ」 「わ、わかるんで すか?」 男は体を乗り出し た 「はい」 「でも、最近徘徊 がひどくて私はこ いつを何度殺そう かと思ったか」 「いいえ、今住ん でいらっしゃる場 所が悪いんです」 「えっ?」 「塀のそばに大き な庭石があります よね」 「は、はい」 「その下に女性の 人骨が」 「ええ?でも住ん だのが曽祖父の代 ですから100年 以上になるはずで すが」 「そうですね、で も近くに最近道路 が出来ませんでし たか?」 「はい、山側にト ンネルを掘ってい ます」 「それで井戸が枯 れた」
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