髪鬼

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金子が呆然と立って言った。 「こ、壊しちゃって大丈夫ですか?夜野さん」 山野が大声を上げた。 「大丈夫よ。向こうの世界とは関係がないから」 「そうか、良かった。寿々に怒られるところだった」 山野は魔美に言われてホッとした。 「おい、みんな入って来い」 礼司がみんなに声をかけると4人は車と割れたガラスの隙間から入ってきた。 そして魔美が根付をかざすとまぶしく光った。 「鬼がいる」 「光が強すぎる。この店自体が鬼だ外へ出ろ!」 礼司が外を見ると髪が入り口を塞いでいた礼司と山野は刀で髪を切ったが全然減らなかった。 「先生、ハサミどうなりました?」 「さっきから磨いているんだが全然取れん」 「でも、一部分剥がれているんですよね」 「ああ、そうだ」 「ひょっとしたら」 礼司は美容室の棚をあちこち探し回った。 ~~~~~ 「浜田さん空が真っ黒になってきましたよ」 人間の世界にいる寿々が飛田家の家の上を指差した。 「参ったな。まだ11時30分なのに鬼がもう動き出してきている」 「向こうで大丈夫かしら?」 浜田が言うと由美は心配で胸がいっぱいだった。 「苦労しているんじゃないか」 「浜田さんこっちで何か手伝えないかしら兄貴が心配です」 寿々が浜田に言い寄った。 「うん・・・」 浜田があれこれ考えあぐんでいると 由美が指差した。 「あれは?」 その方向には黒い空からロープのような物が2階の窓に向って降りてきた。 「あれは息子の部室だぞ」
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