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「みんなで一斉に外に飛び出して俺がこのハサミで身体がから出ている毛を切る。みんな援護を頼む」
礼司が命令をすると全員が返事をした。
「了解」
「ま、待ってくれ、わしはどうすればいい?」
一徳は亮の肩を掴んだ。
「先生は危険ですから待っていてください」
「わかった」
一徳は出口から一番後ろに立つと腕を組んで言った。
「待て、もし君たちが失敗したらどうする?」
「永遠にここから出られません」
「鏡のトンネルに閉じ込められるなんて冗談じゃない、わしも出る」
「あはは、気をつけて」
礼司は時計を見て確認した。
「11時45分だ、今度こそ行くぞ!」
「ちょ、ちょっと待ってください」
今度は山野が止めた。
「なんだ、どうした?山野」
礼司はやる気を損ねてため息をついた。
「夜野さん、向こうの世界で寿々がハサミを持って息子の所に近づいています」
礼司には山野が行っている意味がすぐに分かった。
「向こうにも髪鬼が現れているのか?」
「どうもそのようです。寿々は大きな猫に乗って俺の知らない男と一緒にこの部屋に入りました」
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