生鬼

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二人が立った松山家のお墓にはまだ掘ったばかりの 雅也と言う字が書いてあった。 お参りを終え駐車場へ向かって歩くと 後ろに変な感覚があって礼司が振り返った。 「夜野さん、どうしました?」 「いいえ」 「帰りにお蕎麦でもいかがですか?」 「はい、いただきます」 礼司は嬉しそうに答えた。 鎌倉鶴岡八幡宮の参道沿いにある蕎麦屋に入ると 礼司は天ざるとあんみつを注文した 「夜野さん、甘党なんですか?」 「はい、あはは」 「お子さんは?」 「娘が一人うるさいのが居るような、居ないような」 「一緒にお住まいですか?」 「あはは、遠くにいます」 「そうですか、じゃあお寂しいですね」 「ええ、だから松山さんのお気持ち分かります」 「ありがとうございます。犯人捕まえて殺したい・・・」 良子は興奮して顔を礼司に近づけた。 礼司はドキッとして 「犯人を捕まるといいですね」 「解かりました、早速動きます」 良子は犯人探しに動くつもりだった。 「でも、警察は動きませんよ。こんな事信用しませんから」 「解かっています。ビラを作って交差点で配ります」 「はい、私もお手伝いをします」 礼司は母親の愛情に感動して協力を願い出た。 「いいんですか?」 「大丈夫です、鎌倉往復で売り上げがありますから、 後はさぼりです。あはは」 「ありがとうございます」 その夜、礼司は自分の頭に浮かぶ車のイメージをインターネットのカタログからスキャニングをしてチラシを作った 次の日方南町交差点を通ると止まった車にビラを配る良子を見かけた。 「がんばれ、良子さん!!」礼司は心の中で叫んだ その夜、12時に鎌倉鶴岡八幡の交差点で、江ノ島方面から来た車が鳥居の前の参道の石垣に衝突して運転手が死亡した。 現場検証をしていた警察官は 「相当飲んでいたな」 「ああ、ノーブレーキだ」 パトカーの赤いランプがむなしく光っていた。 翌日の12時には横浜横須賀道路の日野付近で 側壁に激突して死亡事故が起きた。 3日後の12時には第三京浜の保土ヶ谷で 中央分離帯に激突しての死亡事故が起きた 4日後1時には第三京浜の玉川ICで側壁に激突して死亡事故が起きた 翌日、車で聴くラジオのニュースでは連続飲酒運転の交通事故死を報道していた。 ラジオでそれを聞いていた礼司は 「おいおい、同じような事故ばかりだな」 そうつぶやいた。
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