武鬼

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「うん」 「織田信長が鬼になっていたりしてな。あはは」 「うんそうかもね。でも鬼はかなり強いよ」 「それで、武器は?」 「その小柄じゃ力が足らないから、刀を使うわ」 「刀だけで勝てるのか」 「だから、いい刀じゃないと」 「ああ、京都ならいい刀があるな」 「うん、京都国立博物館」 「な、なに?盗むのか?」 「違うわよ、借りるのよ」 「そうか、借りるのか。まさか国宝だったりして」 「そうよ、国宝のね。ええと」 魔美は持っていた紙を見た 「太刀 銘則国。鎌倉時代の物で作者は則国」 「おい、おい。じゃあ向うに着いたらまず刀を盗むことか」 「うん、場所は京都駅の近く」 「OK」 礼司の運転するタクシーは京都駅に22時50分に着いた 「魔美鬼退治の時間に間に合ったな」 「うん」 「お客さん着きましたよ」 礼司は自慢げに声をかけた 「ん、今何時ですか?」 「11時ちょっと前です」 「えっ。えええ?本当に着いたんですか?」 男は不思議な顔で時計を見た 「よ、よかった間に合う。ちょっと待っていてください人を連れてきますから」 「いいですけど、金額が金額なので・・・」 礼司は疑った目で男を見た 「ああ、そうか。私、佐々と申します。待っていてくださいね」 「は、はい。お待ちの方は2号車です」 「えっ?」 佐々は20万円と名刺を礼司に渡して車を降りた。
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