武鬼

8/19
前へ
/288ページ
次へ
「なあ、魔美」 「はい?」 「今気がついたんだけど・・・・。メーターが5360円だ」 「あはは、鬼の世界はメーターが動かないから」 「じゃあ、もらい過ぎかな? 会社になんて言おう」 「ねえ、夜野さんってどうしてこういう時は弱気なの?」 「あはは、サラリーマンが長かったから」 名刺を見ながら魔美は 「あら、あの人大学の準教授よ」 「ん?」 「佐々 宗則 東京都市大学 文学部民族考古学だって」 「ほう」 「ところで、彼は20万円も払ってタクシーで京都に来たのかしら」 「うん、人を追ってきたみたいだ」 「鬼退治の時間過ぎちゃうよ」 「大丈夫だろう12時までに鬼を退治すればいいから」 「そうね、今度は強力な武器があるから」 「ああ」 ―3時間30分前― 銀座のレストラン 佐々と女性が話をしていた 「どうしても帰るのか?」 「ええ、父が心配」 「僕も明日京都へ行く」 「分かっているわ。でも早く帰らなきゃ父が心配」 「僕だって現場が見たいんだ、ひょっとしたら遺跡かもしれないから」 「それは、文化遺産保護の立場でしょ。もし工事が遅れたら会社がつぶれてしまうわ」 「もしかしたら歴史的な発見かも知れない」 「そんな馬鹿な話しあるわけないわ」 「今日は大切な日だって知っているだろう」 「ええ分かっているわ、でも5人も死んでいるの」 「お父さんが恨みかなんかをかっているんだろう」 「そ、そんな父じゃない」 真由美は立ち上がった 「真由美!!」 真由美は外へ飛び出しタクシーへ飛び乗り東京駅へ向かい 21時発ののぞみに乗った
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!

853人が本棚に入れています
本棚に追加