武鬼

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「夜野さん、国立博物館の近くですよ」佐々が小声で言った 「ああ、納得。じゃあ行きます」 「夜野さん戸田真由美さんです」 「夜野です」礼司は女性に向かって頭を下げた 「私は魔美です」魔美が頭を下げた 「はい・・・・?」 真由美は佐々がなぜ自分を紹介されたか助手席に少女が乗っているのか 意味が分からなかった 「夜野さんは霊能力者で地獄タクシー呼ばれる有名な方です」 「そうなんですか?」 「ええ?佐々さんどうしてそれを」 礼司は驚いて聞いた。 「実は鑑定家の中丸先生の弟子だったんです、時々先生についてテレビ局へ行きましたよ」 「はあ」 「夜野って珍しい苗字だから覚えていたんですよ」 「地獄タクシーの噂は?」 「キャバクラで」佐々は礼司の耳元で囁いた 「あはは、分かりました」 真由美の家の玄関に着いた 「わあ、大きい家」魔美が言った 「真由美さんの家は大きな建設会社を経営しているんだ」 「わあ、お金持ち」 「ありがとうございます。夜野さん助かりました」 「いいえ」 「そうそう、則国は展示室じゃなくて地下の倉庫の中にあります」 佐々は閉まりかけのドアから顔を出していった 「えっ?」 「彼、聞いていたの?」 「まあ、いいとにかく急ごう」 「そうだね。もう11時20分よ」 礼司はアクセルを踏んだ 車は5分ほどで国立博物館に着くと 大きな塀が閉ざされ正面には噴水とその奥にはレンガ作りの建物 右側にはそれよりも近代的な白い建物があった 「例の作戦か?」 「うん」 礼司は鬼のノブを回し鬼の世界に移動し一度バックし扉にぶつかって 壊し白い建物の前に車を止めるとノブをはずし車から降りた
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