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すると後ろの席で寝ていた良子の口が開き喉の奥から
白い紐が交差点へ伸びて行き
それが渦のように重なりあって人間の形になろうとしていた。
礼司は白い布袋を持って車を降り
「これか」礼司はその塊の中に右手を突っ込むと
反対に礼司に覆いかぶさり凄い圧力で
礼司の体を押しつぶそうとしてきた
「俺の体に入ろうとしている」
礼司は手にしていた布袋から
ナイフを取り出しホルダーから抜いて
「鬼のノブ力を貸してくれ」
そう言って鬼のノブの感覚を思い浮かべた
すると普通のサバイバルナイフが金色に輝きだした
その時、車の中の良子が苦しみだした。
「良子どうした?」和夫は良子の体を揺り動かした
「良子、良子」
礼司の持っていた金色に輝くナイフはスーッと伸びだした
「おっ、ソードバージョン」
そして、そこから一歩はなれて大上段に構えその塊りを
切る準備をした。
「良子さん早く、早く起きてくれー」
すると、その中から白いモヤが糸を引いてタクシーに向かって飛んでいった
「おし」礼司はジャンプして上から叩き切った。
すると黒いモヤは逃げるように空高く舞い上がった。
車の中では良子が目を覚ますと礼司が走ってきた
「松山さん、奥さんを降ろしてください」
「はい」
「急いで」
二人が降りると礼司はタクシーをUターンさせ方南通りを新宿へ向かって走らせた
「どこへ逃げた?鬼のノブがあれば」
その時、助手席に置いたソードがまぶしいくらいに光りだすと
「おい向うの世界へいけるのか」
礼司は左手でソードを握った。
すると、目の前が真っ暗になりさっきの黒いモヤが小さく凝縮しながら人の形になって目の前に現れ道路の真ん中に立っていた。それは全裸に近く赤銅色で髪を振り乱し目はつり上がり口は大きく裂け、爪は猫のように鋭く伸びた鬼のような形相の女性の姿だった。
「良子さんの生霊か?」
礼司は思いっきりアクセルを踏みそれを轢こうとすると右によけた。
一瞬助手席を見ると魔美の姿が見えたように気がした。
「前と同じか?」
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