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一瞬助手席を見ると魔美の姿が見えたように気がした。「前と同じか?」
タクシーをUターンさせると生霊は凄いスピードで逃げ出した、その速さは100キロを越していた「ひょっとしたら」そう言って礼司はギアを一番奥に入れるとロケットのように加速した。
生霊に追いついてライトを上向きにするとそれのスピードが落ちた。
「おお、効果あり」
礼司はためらわずそのままのスピードで生霊を轢くと風船が破裂したように八方に飛び散った。すると周りは明るくなり
「11時59分、任務終了。魔美今回は一人でやったぞ」
方南町の交差点には松山夫妻が立って待っていた
「乗ってください」
「はい」
二人がおびえて後ろのシートに座ると
「説明します」
「はい」
「魔物が奥さんの魂と合体して鬼となって人を食うつもりだったのでしょう」
「そんな」
良子は声を出して泣き出した
「信じる信じないは自由ですが」
「いえ、信じます」
「ありがとうございます」
翌日、水野から礼司に電話があった
「夜野さん」
「おお」
「昨日言われた方南町のひき逃げ事件、特集を組みますよ」
「おお、サンキュー」
「お母さんのビラ配り、目撃者が言った黒い車と逃げた方向で
犯人を見つけましょう」
「ありがとう」
「ところで、飲酒運転死亡事故の謎は」
「ああ、あれはもう終わった。ただの偶然だ」
「そうか、残念」
それから数日後、雅也を轢いた犯人が訳の分からない言葉をつぶやきながら出頭してきた。
その言葉は「地獄タクシーが迎えに来た」
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