獣鬼

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「ああこれはひどい!」 三人は口をそろえて言った 「骨の部分は肉のかけら一つ残っていません」 「本当、ツルツルですね」 「大丈夫か、魔美」 「うん全然」 魔美のあっけらかんとした態度に礼司は驚いた 「この、肉の部分傷はどうなっていますか?」 浜田が川島に聞いた 「はい、部分的に20mmの犬歯の痕が残っていますので 柴犬くらいの大きさの動物に食われたんだと思います」 「毛皮の方は?」 礼司が聞くと 「隣の部屋にあります」 その毛皮内側は余す所無に真っ赤な血が半分固まりだしてべっとりとついていた。 そこで川島と浜田は会話を始めた 「体から毛皮を取るのが大変でした、首、手首、膝に食い込んでいて」 「そんなに?」 「ええ」 「じゃあ、外から食われた訳ではないですね」 「鑑識ではないのではっきり言えませんが、毛皮に噛痕はありませんでした」 「じゃあ、あの女性は・・・・・内側から食われた」 「ええ、他に考えられません」 礼司と魔美は川島に聞こえないように離れて話をしていた 「やっぱり、毛皮に食べられちゃったんだね」 「ああ」 「それでどうなの?何か感じる?」 「それが、この毛皮に鬼はいない」 「じゃあ、死んだ現場かしら」
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