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獣鬼
新宿歌舞伎町のコマ劇場の前で、髪の短い男が毛皮のショートコートを素肌に着ていて
その男は有名人であるらしく、道行く女性たちが振り返ったり
写メールで写真を撮っていた
その時。突然男は一緒にいた男に向かって
「痛てて」
「ん?どこが?」
「あちこち」
そう言って毛皮のチャックを下ろそうとした
「あれ」
痛みに耐えながらチャックを下ろし続けたがピクともしなかった
男の額に汗が浮かび上がってきた、
そして苦痛で男が地面に倒れ転がり回った。
ジュルジュルとストローでジュースを飲むような音をがすると
「大丈夫ですか?」一
緒に居た男が近づいて手を触れると
体をピクピクと痙攣させそして、
袖口とウエストから真っ赤な血が流れた
翌日、礼司は南里病院の903号室に浜田を見舞っていた
「まだ、意識が戻らないのか?」
「ええ」
一緒に病室に入って来た女医が言った
「原因は?」
礼司が尋ねると
「わかりません、何の異常もありません」
その女医は向うの世界の由美になんとなく似ていた
「あの~先生」礼司は胸章の川島の苗字を見ながら
「はい」
「まさか由美さんて言うんじゃないでしょうね」
「そうです。どうして?」
「いや、ちょっと知り合いに似ていたから」
「確かに、由美さんに似ているね」
魔美が礼司の腕を突っついた
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